最終更新日: 2023/01/27
QRコードの概要
QRコードは現在、日本で最も普及している2次元コードの一種で、1994年(平成6)に株式会社デンソーウェーブ(開発当時は株式会社デンソーの1部門)が開発しました。
「Quick Response Code」という名前の通り、読み取りの高速化を重視したことが大きな特徴になっています。
バーコードの普及に伴いその便利さが広く認識されるとともに、 「より多くの情報をもっと小さなスペースに印字したい」という要求が高まり、それに応えるために開発されたのが2次元コードです。
2次元コードは、バーコードを積み重ねて従来のバーコードより情報量と情報密度を数倍高めたスタック型から、 さらに情報密度の高いマトリックス型に進化しました。 QRコードもマトリックス型で情報化密度が高く、歪み補正機能や高速読み取り性など多くの優れた機能を備えています。
従来のバーコードが1方向にしか情報を持たないのに対し、QRコードは縦・横の2方向に情報を持つことで、 記録できる情報量は飛躍的に増加しました。記録できる最大データ量は、数字のみなら7089字、英数字が4296字、バイナリが2953バイト、 漢字が1817字です。
AIMI(国際自動認識工業会)、JIS、ISOで規格化されており、 日本自動車工業会や日本自動車部品工業会で「カンバン方式」に採用されているのをはじめ、 あらゆる分野で利用されています。特に最近はケータイにQRコード読み取り機能が搭載されたため、 URLなど手入力では面倒なデータを記録する手段として急速に広がっています。
QRコードの特徴
QRコードは、従来のバーコードに比べ次のような特徴があります。
◆ 大容量データの収納 ……… 数字・英字・漢字・カナ・平仮名・バイナリ・制御コードなどあらゆるデータを扱うことが可能
◆ 小スペースの印字 ………… バーコードの約10分の1程度の大きさで同じ情報量を表示できる
◆ かな・漢字を効率よく表現 … 「JIS第一・第二水準の漢字」を効率的に表現
◆ 汚れ・破損に強い ………… コードの一部に汚れや破損があっても、誤り訂正機能でデータの復元が可能
◆ どの方向からでも読取可能… 上下左右360°どの方向からでも高速読み取りが可能
QRコードの種類
QRコードには最初に開発された「モデル1」と、歪み補正機能を追加して大容量データにも対応した「モデル2」、及び省スペース・少量データ用途に最適の「マイクロQRコード」があります。
【モデル1】
最初に開発されたQRコードで、モデル2やマイクロQRコードの基になっています。モデル2の開発に伴い小さいシンボル用に規格が変更され、現在はバージョン1~バージョン14までをAIMI(国際自動認識工業会)規格としています。
最大データ量は、数字1167字、英数字707字、バイナリ486バイト、漢字299字となっています。
【モデル2】
モデル1は歪み補正機能がなかったため、英数字で数百字をエンコードすると僅かな歪みで読み取り率が急速に低下するという問題がありました。それを解決するため1996年(平成8) に開発されたのがモデル2で、歪み検知が行えるようデータの中にアライメントパターンを追加した構成となっています。
これによって数字7089字、英数字4296字、バイナリ2953バイト、漢字1817字という大容量データのエンコードが可能になりました。モデル2は、バージョン1~バージョン40(177セル×177セル)までをAIMI規格としています。
【マイクロQRコード】
基板や電子部品など省スペース・少量データ用途に最適の小さなコードです。QRコードは切り出しシンボルが3つの角にあるため、シンボルサイズを21セル×21セル以下にできないという問題があります。そこで、1997年(平成9)に新しいシンボルとして開発されたのがマイクロQRコードで、切り出しシンボルを一つにすることで最小サイズを11セル×11セルにしたものです。
また、QRコードでは周りに最低4セル分のクワイエットゾーンが必要でしたが、マイクロQRコードでは2セル分が確保できれば十分です。このような構造によってマイクロQRコードは、QRコードよりもさらに小さなスペースへの印字を可能にしました。
マイクロQRコードはM1(11セル×11セル)、M2(13セル×13セル)、M3(15セル×15セル)、M4(17セル×17セル) の4バージョンのみです。記録できるデータ量はそれほど多くなく、最大バージョンのM4(数字35字、英数字21字、バイナリ15バイト、漢字9字)でもQRコードのバージョン1よりも少なくなっています。
QRコードの構造

QRコードを構成する最小の単位をセル(四角い黒白の点)と呼び、このセルの組み合わせでQRコードは表されます。 QRコードは、主にデータセルと機能セルで構成されています。 データセルは、QRコードの中にあるデータを表現するセルで、 データキャラクタとモードキャラクタ、及び誤り訂正符号が含まれます。 機能セルは、データセル以外の切り出しシンボル、タイミングパターン、セパレータ、アライメントパターン、フォーマット情報を含んでおり、 QRコードの位置検出やデータセルの各セルを切り出す基準として使用されます。
【切り出しシンボル(ファインダパターン) 】
QRコードシンボルの3つの角に配置される「回」の字型の位置検出用パターン(マイクロQRコードは1個)。360°どの方向からでも読み取ることができるので、高速読み取りを可能にしています。

切り出しシンボルから位置を検出するとき、(A)(B)(C)のどの位置から切り出しシンボルを通っても、黒セルと白セルの比率は「1:1:3:1:1」になっています。このため、QRコードの上下左右が回転していても、3個の切り出しシンボルの位置は変わらず、回転した角度を認識できるので、360°どの方向からでも正確に読み取ることができるのです。
【タイミングパターン】
黒と白のセルが交互に配置され、シンボル内のモジュール座標を決定するのに使用します。QRコードでは切り出しシンボル間の2カ所に配置されています。
【フォーマット情報】
QRコードシンボルに使用されている、誤り訂正率とマスクパターンに関する情報を持っています。デコードを行うときは、まず始めにここを読み出しています。
【誤り訂正機能 】
QRコードは、コードが汚れたり破損したりした場合でも、コード自身でデータを復元する機能を供えています。QRコードの誤り訂正機能は、リードソロモン符号を元データに付加することで実現しています。 誤り訂正能力は、シンボルの損傷の度合いに応じて4段階のレベルが用意されていますから、使用環境などに合わせて選択することができます。最も一般的に運用されているレベルMでは、コード面積の15%が損傷した場合でもデータを復元することが可能です。 レベルを上げると誤り訂正能力はアップしますが、誤り訂正に使用されるデータが増えるため、コードのサイズは大きくなります。
QRコードの誤り訂正能力
レベル |
コードに対する面積 |
レベルL |
7% |
レベルM |
15% |
レベルQ |
25% |
レベルH |
30% |
マイクロQRコードの誤り訂正能力
バージョン |
誤り訂正レベル |
M1 |
ー |
M2 |
レベルL、レベルM |
M3 |
レベルL、レベルM |
M4 |
レベルL、レベルM、レベルQ |
(注)バージョンM1は誤り検出のみ
QRコードからダイレクトに情報表示する場合
【認識できる文字数 】
QRコードに収納できる文字数は、規格では英数字で最大4296文字、漢字で最大1817文字ですが、ケータイで読み取れる文字数には制限があります。QRコードのバージョン(種類)は1から40まで設定されていますが、ケータイで認識可能な範囲はバージョン10までとされています。従って、最も利用されることが多い全角半角混在の文章(バイナリ)では、最大文字数は271文字(バイト)が上限となります。
前記の271文字という上限値は、誤り訂正レベル「L」(7%)の場合で、レベルを上げると文字数の上限値は小さくなり、レベル「M」(15%)ならバージョン10全角半角混在で213文字となります。
また、あまりたくさんの情報を詰め込むとQRコードが大きくなり、大きな印字領域が必要となり不便です。逆に小さく印字しようと縮小し過ぎると、QRコードの目が細かくなり過ぎて読み取りに支障をきたします。従ってQRコードに入れる情報は、できるだけ必要最小限にとどめることが求められます。
なお、ケータイで最も読み取りやすいQRコードの寸法は、おおむね10~30mm角四方とされています。
当社では、QRコードの大きさとシールサイズのバランスを考慮し、ケータイで正確に読み取れる文字数はバージョン10全角半角混在で100文字程度が最適とオススメしています。
QRコードからモバイル端末へアクセスする場合
URLが記録されたQRコードをスマホなどのモバイル端末で読み取るだけで、目的のサイトへカンタンにアクセスできます。これまでのようにURLを入力する煩わしさから解放されますし、キーの押し間違いによる入力ミスもありません。